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知っていますか?矯正治療の選び方に関するホントの話

矯正歯科治療は費用も期間もかかる治療。治療が始まってから後悔しないように歯科医院は慎重に選びましょう。

矯正歯科治療専門医VS総合医
どっちがいいの?

矯正治療を行うとき、まず頭を悩ませるのがクリニック選びです。矯正治療専門のクリニックだったら安心と思われるかもしれませんが、大人の矯正は、お口の中の状態によって治療方法が大きく変わってきます。総合的なケアを行っているクリニックを選ぶことが、後悔しない治療につながるといえます。

歯の矯正治療を受ける場合に、まず考えなくてはいけないのが「どのクリニックを選ぶか」ということ。矯正歯科とひとえにいっても、歯並びや口の中の状態によって、最適なクリニックは変わってくるのです。特に大人の歯科矯正であれば、選ぶべき治療方法が人によって大きく異なります。

そしてもうひとつ考えなくてはいけないのが、「専門医を選ぶか総合医を選ぶか」という点。専門医はその名の通り、歯科矯正を専門的に行う医院のこと。対して総合医は、歯科矯正だけでなく、歯周病やホワイトニングなど、歯に関する治療全般を総合的に行っている医院のことを指します。

ここでは、矯正歯科において専門医と総合医どちらがいいのか、矯正歯科を選ぶ際には何に注意すべきか、歯科クリニックの真実をひとつひとつ紐解き、あなたに最適な矯正歯科クリニックの選び方を徹底比較していきます。

矯正専門医院を選択することが、必ずしも正解とは限りません

矯正治療を行っているクリニックには、矯正治療だけを行う矯正専門クリニックと、虫歯や歯周病など一般的な歯科診療を行う一般歯科クリニックの2種類があります。矯正専門医だったら安心!そう思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

矯正専門医は矯正以外の治療はしませんので、矯正を始める前に抜歯や虫歯治療が必要なときは、一般歯科クリニックでの処置となります。これに対して一般歯科クリニックは、虫歯や歯周病などを総合的にケアできますので、治療前の抜歯から治療後のメインテナンスまで、お口の中を総合的に管理してもらえます。

特に大人の場合、虫歯や歯周病などのトラブルが多く、治療方法はお口の中の環境によって大きく変わります。また、治療期間も長くなりますので、安心して委ねられるクリニックとお付き合いしたいもの。総合的にしっかり見てもらえるクリニックを選ぶことが、大人の矯正の賢い選択といえます。

総合歯科での矯正歯科治療

総合歯科とは、保険診療の一般歯科をはじめ、矯正やインプラント、ホワイトニング、予防歯科、小児歯科など、歯に関するあらゆる悩みに対応している歯科医院のこと。一人のドクターが器用にも総合的な治療を行なっている医院もあれば、専門を異にするドクターが複数名常勤する医院、専門ドクターが曜日を決めて非常勤で診ている医院など、その形態には様々なタイプがあります。
総合歯科で歯列矯正を受けることのメリットは、矯正前・矯正中・矯正後、いつでも一般診療を受けられること。矯正中は、長期間にわたって歯に器具を装着するために、虫歯や歯周病などの様々な歯のトラブルが起こる可能性があります。万が一そのようなトラブルが起こった場合でも、総合歯科であれば院内で速やかに対応することが可能となります。

専門歯科での矯正歯科治療

矯正専門歯科とは、一般診療を行わずに、もっぱら矯正治療のみを行なっている歯科医院のこと。大学病院で矯正を専門に学んだドクターが開業している例が多いため、どの専門歯科であっても、一定水準の矯正技術が保証されています。
ただ、一般診療を行なっていないため、矯正前や矯正中、矯正後に、虫歯や歯周病などの何らかのトラブルが生じたときには対応してもらえません。万が一そのようなトラブルが起きた場合には、患者は別の一般歯科と行ったり来たりしなければなりません。
「確実に歯並びを美しくする」ということだけが目的なら専門歯科でも良いのですが、歯並びを美しくするプロセスには、様々な歯のトラブルが生じる可能性があることも理解しておきましょう。

本当に自分に合った矯正歯科を選ぶために

日本矯正歯科学会の認定医がいるかどうかをチェック

クリニックを選ぶ際のポイントの一つとして、「日本矯正歯科学会の認定医がいるかどうか」があります。日本矯正歯科学会は、歯科矯正の分野において、国内でもっとも権威のある団体。以下の項目のような高いハードルをクリアした、認定医が在籍し、矯正歯科の治療に信頼ができるかどうかを確認しましょう。

  • ・5年以上日本矯正歯科学会の会員であること
  • ・2年以上大学の矯正歯科で研修医をした後、学会指導医の下でさらに3年以上矯正歯科に専門的に従事すること
  • ・学会誌にオリジナルの論文を発表すること
  • ・学会の定める試験に合格すること

上記の項目すら最低条件であることを考えれば、それがどれだけ困難なハードルか分かるというものでしょう。当然認定医は数が少なく、国内の歯科矯正医は約10万人いるのに対し、その中の認定医はなんとわずか3000人とも(2019年1月時点)。歯科治療のエキスパートである認定医がいるというだけで、そのクリニックや医院の信頼度は十分に信頼の置けるものだと判断できるでしょう。自分の住んでいる地域のクリニックや歯科医院に認定医がいるかどうかは、そこのホームページなどで手軽に確認できるでしょう。また、日本矯正歯科学会のホームページには認定医や専門医の一覧が掲載されているので、そちらも参考にするといいでしょう。

機器や設備の充実

自分が必要としている治療や術式の種類にもよりますが、クリニックに十分な設備や機器があるかどうかもチェックしておくべきポイントです。

矯正治療において、もちろん担当医の技術力は重要となりますが、設備や機器が揃っていなければ満足のいく治療を受けることができない可能性もあります。多くのクリニックではホームページにてその内容を確認できるため、一度ご自身で調べてみることが重要です。

以下はほんの一例になりますが、機器や設備の役割をかんたんに紹介します。

デジタルX線・デジタル画像処理
リスクを抑えるために、最小の放射線量で撮影できるデジタル方式です。矯正治療には正確な画像情報が必要不可欠なので、それを即時に得られるように最新のプログラムを用いています。
診療台
治療時に患者に負担をかけないように、人間工学に基づいた最新の診療台を使用しています。
オートクレーブ
高圧の蒸気を用いて、治療に使用した器具を滅菌するための設備です。直接治療に用いられるものではありませんが、ある意味非常に重要な設備だと言えるでしょう。

スタッフの対応(治療方針・メリットデメリットの共有・費用の明瞭さ)

クリニックに通うときに直接自分と触れ合うことになる医師やスタッフの対応は、クリニックを選ぶ上である意味もっとも重要なポイントだと言えるかもしれません。いくら認定医がいても、設備が充実していても、スタッフの対応が悪いところにわざわざ行こうという人はいないでしょう。それに、矯正歯科での治療は、患者が医師から一方的に受けるものではありません。

また、歯科矯正の治療は大抵のばあい長期間に渡るものになります。ですので、患者とスタッフとのあいだに信頼関係が構築されている必要があります。患者の症状をきちんと把握してくれるか、話を親身になって聞いてくれるか、しっかりとカウンセリングをしてくれるかなどをよく調べておきましょう。特に重要なのは、インフォームド・コンセントです。これから行われる治療やその内容、費用などなど……そうしたことについての説明はとても重要です。これを丁寧に行ってくれるクリニックなら、十分な信頼が置けるでしょう。

セカンドオピニオンも重要です。矯正歯科治療ではときに重大な決断を迫られることもあるでしょう。そうしたときには、別の医師の意見を聞くことも重要です。患者の要望に応じて速やかに診療情報提供資料などを用意してくれるクリニックを選びましょう。

リスクもしっかりと理解する

矯正治療は歯並びと噛み合わせを理想的な状態に整える治療ですが、その一方で、いくつかのリスクがあります。

矯正装置の種類によっては、口を開けたときに装置が見えても口元の美しさが損なわれることがあります。また、お口の中の清掃状態が悪くなって、虫歯や歯周病のリスクが高まりますのでより丁寧なブラッシングが必要です。

矯正装置を取り付けた後や調整後は、痛みや違和感が1週間ぐらい続くことがあります。さらに、症状によっても異なりますが、長期にわたる治療のため、治療期間はおおよそ2年~3年かかり、その間は定期的な通院が必要です。治療費も、矯正治療は保険が適用されません。全額自己負担となるため、高額な治療費を支払うことになります。こうしたリスクを整理・理解した上で、矯正治療を始めて下さい。

大学病院でうける矯正について

大学病院での歯科治療の実際

大学病院での治療といえば、最新の技術や設備があって、レベルの高い医師がいる…といったイメージを抱いている人も、少なくないのではないでしょうか。しかし実際には、大学病院での歯科治療に当たるのは、教授の指導を受けた研修医がほとんど。これは、大学病院が「研修医の教育機関」であるという側面を持っているからです。

また、大学病院は予約が取りづらいことがほとんど。次回の診察が2ヶ月後といったケースも少なくありません。予約が取れたとしても、受付窓口は他の科と同じなので普通の診療所よりも人が多く、それだけ待ち時間も長くなります。加えて診察時間は、夕方までなど早くに終わってしまうところが多いため、仕事をしている人などにとってはなかなか時間が合わず、診察を受けにくいというデメリットがあります。

大学病院での歯科治療のメリット

大学病院で受ける矯正治療には、もちろんメリットもあります。大学病院であれば、口腔外科をはじめとするさまざまな専門外来を抱えていることが多いため、顎関節症や口蓋裂といった歯列矯正ができないケースであっても、あらゆる角度から適切な対応が可能なのです。

また、一般的な歯科と比較し、医師の数が段違いに多いこともメリットのひとつ。一般的な歯科クリニックにおいて、通い続けられない原因のひとつに、担当医と合わないということが挙げられます。大学病院は研修医である場合がほとんどですが、数多くの医師が所属することからも担当医の変更なども容易です。資金の関係からも、大学病院の設備の方が充実している場合もあるので、対応できる症例も多くなります。入院設備もあるため、複数の治療時間が掛かる治療をまとめて行うことができます。

大学病院での歯科治療のデメリット

デメリットは冒頭でも述べたように、担当医のほとんどが研修生であることや、診療時間の融通が利かないという面が挙げられます。大学病院は研修の場でもあるので、学生に囲まれた状態での診療や実習の一環として治療を受ける可能性もあることを理解しておく必要があります。

また、紹介状がなければ診察を受けられない場合もあり、すぐに診てほしいといったケースにおいては適さないといえるでしょう。クリニックに比べ、大学病院の数は圧倒的に少ないため、住んでいる地域によっては遠方にまで出向かなくてはいけなくなることもあります。

カウンセリングを受け、あなたに合った矯正医を見極めましょう

治療期間の長い矯正治療だけに、先生との相性も重要なポイントになってきます。それには、実際にカウンセリングを受けて詳しく相談してみるのが一番です。あなたに合った先生かどうか?見極める5つのチェック項目を紹介します。

  1. きちんとした検査を行い、丁寧な説明をしてくれるか

    矯正治療を始めるには、X線撮影などの検査を行って歯や顎の状態を把握して、正確な診断が必要です。クリニックによっては検査を充分に行わないこともあります。検査の有無や検査内容、結果の説明があり、不安や疑問についても丁寧に答えてくれるかどうかが、重要なポイントになります。

  2. しっかりとした治療計画が立てられているか

    治療方法や治療期間、費用などは、歯並びの状態により異なります。臨床経験を積んだ矯正医であれば、検査結果をもとに治療方針や治療計画、費用や期間などを正確に判断して説明できます。もし、説明不足や内容が二転三転するようでしたら、セカンドオピニオンや転院も視野に入れましょう。

  3. メリットとデメリットの両方を説明してくれるか

    矯正治療にはメリットの他に、必ずデメリットがあります。メリットだけを聞いていても、正しい判断ができませんので、いい事ばかりを話す矯正医には、用心してかかった方がいいでしょう。抜歯の有無や治療期間、費用の問題なども含めて、メリット・デメリットをきちんと説明してくれるかがポイントです。

  4. ひとつの治療法だけを勧めていないか

    矯正治療は、症状や症例によって治療方法や使用する装置が違います。一つの治療法だけにこだわっていると見極めを誤り、結果として患者の歯やアゴに負担を与えてしまい、場合によっては再治療をすることにもなり兼ねません。複数の治療方法を提示し、メリット・デメリットの説明があるかどうかもポイントになります。

  5. 治療期間についての説明はあるか

    おおよその治療期間を予測した上で治療を始めますが、進捗状況によっては計画通りに進まずに、治療期間が長引くことがあります。そのまま治療を続けていると不安になりますので、矯正医に治療が伸びた理由を確認するといいでしょう。責任感の強い矯正医でしたら、きちんと説明してくれるはずです。

  6. 特に費用について明確に説明してくれるか

    歯列矯正は自由診療なので、保険が効きません。そのため、患者が負担するトータルコストは高額になります。たとえ費用が高かったとしても、信頼できる医院は、費用について一切包み隠すことなく具体的に説明してくれます。費用に関する説明に熱心ではない医院や、費用に関する質問に対して返答が曖昧な医院は避けたほうが良いでしょう。

  7. 院長や担当ドクターの症例数は多いか

    治療を行なってくれる医院の院長や、または担当するドクターの症例数が多いかどうかを把握しておきましょう。もちろん、症例数だけでドクターの技術力を判断できるものではありませんが、あまりにも経験が乏しいドクターは考え物です。具体的な症例数が分からない場合は、日本矯正歯科学会の認定資格を持っているかどうか確認してみてください。技術力がなければ認定医の資格は付与されません。

  8. ドクターの人柄は良いか

    医療において人柄は関係ないと考える人もいるかも知れませんが、それは間違いです。どれだけ真剣に患者のことを考え、治療してくれるかは、最後はドクターの人柄にかかってきます。話した感じから人柄を読み取るのは難しいかも知れないので、治療以外のドクターの言動を観察してみてください。ブログをやっている院長は、患者思いでプロ意識が高い傾向があります。

  9. 患者の口コミ評判は良いか

    可能であれば、実際にその医院で矯正治療を受けた患者の口コミ評判をチェックしてみてください。実際に治療を受けた患者の声は、医院の公式HPのどんな素晴らしい文言よりも真実に迫ります。ちなみに、どんな医院の口コミにも、良い内容と悪い内容の両方があります。ただ、本当に良いクリニックは、圧倒的に良い内容の口コミの比率が高いものです。

  10. スタッフの対応は良いか

    ドクターの人柄や技術力を見る方法の一つに、スタッフの対応を観察するというものがあります。院長がいい加減であれば、スタッフもいい加減になります。院長の人柄や技術力が素晴らしければ、スタッフの対応も一流となります。親子の関係のようなものです。

  11. 経営的に安定している医院か

    昨今、歯科医の過剰供給を背景に、歯科業界に激しい競争原理が働いています。良いクリニックはますます繁盛し、そうではないクリニックは患者の数が減って経営が困難になっています。逆に言えば、経営が安定している医院は、良いクリニックということにもなります。常に患者が多くて待たされるのは困りますが、一方で、その状況は良いクリニックである証拠でもあるのです。

  12. 歯を長期的に管理してくれるか

    歯列矯正を終了した後でも、虫歯や歯周病など、歯の悩みは一生続きます。料金の高額な歯列矯正が終わったらサヨナラ、という医院ではなく、長期的に患者の歯の健康を診てくれる医院かどうかを見極めることはとても大事です。歯科検診の案内などをお知らせしてくれる医院を選ぶようにしましょう。

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