インビザラインの特徴
インビザラインはマウスピース型矯正の代表格
インビザラインは世界で1500万人を超える患者の治療に使用された実績(※1)を有する、マウスピース型矯正装置のトップランナーです。米国アライン・テクノロジー社(NASDAQ: ALGN)の日本法人であるインビザライン・ジャパン株式会社が日本の歯科医院・クリニックに提供しています。近年では「マウスピース矯正」と言えばインビザラインが頭に浮かぶ人が多いかもしれません。
インビザラインは「マウスピース型カスタムメイド矯正装置」とも言われ、その名の通り一人ひとりの歯並びや骨格に合わせてオリジナルの装置を作成して治療します。治療を始める前に写真やレントゲンを撮影し、コンピューターのにより、口腔内スキャナーによってスキャンして作成した3D画像データおよび精密検査の診断を元に、治療のスタートからゴールまでのシミュレーションを事前に行います。このシミュレーションで治療開始から終了までの間に、どのように歯列が矯正されていくかを見ることができます。
インビザラインのマウスピースは透明なため目立ちにくく、付けたままでも矯正治療中であると気づかれることはほとんどありません。会話中でも気にすることなく、笑う時に歯を隠すような必要もありません。また、取り外しも簡単にできるので、飲食の前や歯磨き前などに外して、口内を清潔に保つことができます。
世界のマウスピース型矯正装置の市場規模は2030年までに323億米ドルに達する(※2)と言われていますが、その要因のひとつには、金属製の矯正装置による不快感を避けたい、審美的にも魅力的な見た目にしたいと考える多くのティーンエイジャーの存在があるようです。今後日本でも欧米同様にこのマウスピース型矯正装置による矯正治療が一般的になるという考えをお持ちの専門家も少なくありません。
参照元
(※1)インビザライン・ジャパン株式会社公式サイト(https://www.invisalign.co.jp/company)
(※2)株式会社グローバルインフォメーション「マウスピース型矯正装置の市場規模」(https://www.gii.co.jp/report/grvi1171100-clear-aligners-market-size-share-trends-analysis.html)
インビザラインの治療の流れ
1.初診カウンセリング
2.虫歯・歯周病の検査
3.レントゲン撮影
4.口腔内、顔貌のカラー写真撮影
5.3D口腔内スキャナーによる歯型の印象採得
6.検査結果と治療計画のご提案
7.ご契約・お支払い
8.治療開始
9.1〜3ヶ月に1度、担当医による口腔内のチェック
10.治療終了後、保定期間に移行
初診のカウンセリングと精密検査が重要
上記はインビザラインによる歯列矯正の治療を受ける流れをまとめたものです。歯科医院によって若干の違いはありますが、レントゲン撮影や3D光学スキャナー「iTero」(アライン・テクノロジー社)を使用した歯型の印象採得、治療計画の提案といった流れは共通しています。
口腔内スキャナーによってスキャンしたデータおよび精密検査の診断結果に基づき、治療のスタートからゴールまでを事前にシミュレーションすることができます。 わずか1分ほどでスキャンができ、従来の歯の型取りのように印象材を口に入れる必要がない点でも、患者にやさしい治療と言えます。精密なスキャニング技術により高精度な情報が得られるため、治療の質も上がりますし、患者も納得して治療を継続することができます。
スキャニングされた口内データはいわば設計図のようなもので、本社のある米国の工場でカスタマイズされたマウスピースが製作されます。治療計画に沿って2週間ごとに自宅で新しいマウスピースに取り換え、段階的に矯正をしていきます。 1枚のマウスピースでの歯の移動量はコンピュータ計測で0.25mmに設定され、マウスピース装着時にやさしい力で徐々に歯を動かしていくよう設計されています。
インビザラインでは整えたい歯列だけでなく奥歯も含めたすべての歯に対して力をかけていくため、ほとんどの場合矯正のための抜歯をする必要がありません。約2~3ヶ月ごとに通院して途中経過を確認する必要がありますが、シミュレーションに沿ってマウスピースを一括して製作するので、何度も型を取る煩わしさがありません。ただし、マウスピースによる治療が終わってからは、後戻りを防ぐために保定装置を使用する場合もあります。
インビザラインの費用
インビザラインの治療にかかる費用は、小児と成人でも異なりますし、軽度なのか中度なのかなどそれぞれの症状や矯正する範囲などによっても異なります。
たとえば、症状が軽度な人向けのインビザライン・ライトの場合は、50万円程度。標準的なフル矯正をする場合は、80万円程度が目安になります。また部分矯正であれば20万〜65万円程度、全体矯正で70万〜100万円程度と解説しているWebメディアもあります。
費用については歯科医院によって矯正途中の再調整や治療終了後のアフターフォローなどの費用が別途かかる場合もありますし、それらを含めたパッケージ料金を提示している歯科クリニックもあります。
提示された費用になにが含まれ、それ以外にどのような費用がかかるのかを事前に確認して、最終的にいくらかかるのかを正確に把握しておくと安心です。
インビザラインの治療期間
インビザラインは取り外し可能ですが、飲食時や歯磨き時以外の1日20~22時間以上装着することが推奨されています。この装着時間が守られないと、最初に立てた治療計画に狂いが生じ、想定よりも治療期間が長引いてしまう可能性があります。
毎日装着しながら2週間ごとに新しいマウスピースに交換し、約6週間~8週間ごとに医師の診療を受け、進捗状況を確認してもらうというのが一般的な流れです。予約が取りにくい歯科医院であれば、ある程度予測を立てて先回りの予約をしておくとよいかもしれません。
インビザラインの治療期間については、先ほども触れたように「医師の指示に従ってきちんと装着できているか」という前提条件もありますが、実際の治療にかかる期間は、歯並びの状態や軽度なのか、中度なのかといった症状などによって個人差があります。
インビザラインにはいくつか種類があり、以前に歯列矯正をしたことのある人や症状が軽度の人は、費用や期間を抑えたインビザライン・ライトの使用によって、5ヶ月くらいで治療を終わらせることもできます。ただ、全体的にしっかり矯正するには、2年~3年程度はかかると見ておいたほうがいいでしょう。
また、治療が終わってからも、リテーナーという保定装置を使用して、歯の位置を安定させる必要がある場合もあります。その場合は2ヶ月~半年くらいごとに通院をし、1年~3年程度リテーナーを装着することになるので、すべての歯列矯正治療が完了するまで、5年くらいかかる可能性もあります。
それでもプラケット矯正と比較すれば短い期間で治療が完了することが多いですが、治療を完了させたい期間が決まっている場合、たとえば地方や海外への移住といった動かしがたい事由がある場合は、インビザラインの治療を受けると決める前のカウンセリング段階で、「2年後には治療を完了させたい」などといったご自身の事情を医師に伝えてみてください。
症状によってはほかの治療法を勧められるかもしれませんし、治療のタイミングを再検討したほうがいいというアドバイスをくれるかもしれません。
インビザラインのメリットとデメリット
インビザラインは、従来の矯正方法に比べてメリットが多く、取り入れやすい方法です。ですが、歯並びの状態によっては合わないことや費用面の負担、近くに実施している歯科医院が少ないなどのデメリットもあります。
メリット | ●透明なため、歯列矯正をしていることを気づかれにくい。 ●簡単に取り外しができ、違和感を感じずに通常通りに気軽に食事ができる。 ●取り外しができるため、歯磨きなどの口内ケアが継続でき、マウスピース自体も洗えるので、清潔に保つことができる。 ●金属アレルギーの人や、金具が苦手な人でも違和感なく使える。 ●世界中に普及していて、治療している人が多くそれだけ参考となる実績や症例がある。 ●症状や度合いなど合わせて、自分に合ったプランが選べる。 ●2週間ごとに新しいマウスピースに取り換えて少しずつ力を加えていくため、痛みや違和感を感じることが少ない。 ●プラケット矯正などほかの矯正治療法と比較すると、通院回数が少ない。 |
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デメリット | ●取り外しはできるが、1日20~22時間以上という長い期間の装着が必要である。 ●虫歯の治療などで歯の形が変わったら、マウスピースを作り直す必要が出てくる。 ●ほかのマウスピース型矯正装置を使った治療と比較すると、費用は高め。 ●マウスピース矯正装置が米国で制作されるため、マウスピースが届いて治療が始まるまでに、一定の時間がかかる。 ●米国FDA(アメリカ食品医薬品局。日本における厚生労働省に似た役割)に認可されているとはいえ、日本製でないことに不安を感じる人もいる。 ●インビザラインに限ったことではないものの、マウスピースに慣れるまでは、少ししゃべりにくさを感じることもある。 ●保定期間も加えると場合によって治療が完了するまでに4~5年かかってしまうことがある。 |
インビザラインによる矯正治療は
こんな人に向いている
- 歯列矯正をしていることを気づかれたくない人
- 営業職や接客業など、人前に出る職業の人
- 金属アレルギーがあって、金具を使用できない人
- 審美的な観点からワイヤー矯正がしたくない人
- 口内炎ができやすいなど、口腔内への刺激を避けたい人
- 運動や楽器の演奏などでワイヤー矯正を避けたい人
- 矯正治療後の歯並びのイメージをあらかじめ把握しておきたい人
インビザラインによる矯正治療は
こんな人には向いていない
- 1日20時間以上もマウスピースを装着し続けることができないという人
- デンタルローンを使用しても高額な治療費の支払いが困難という人
- 短期間で矯正治療を終了させたい理由がある人
- なるべく安いマウスピース型矯正装置を使いたい人
- 歯科医師よりご自身の歯列矯正にはインビザラインを含むマウスピース型矯正装置は適していない、効果が出ないと診断された人