安い矯正歯科の選び方とは?
矯正治療は非常に高額な費用が発生する歯科治療であり、できる限り安いクリニックを探したいという方も多いでしょう。しかし、安い矯正歯科には安いなりの理由があり、危険が生じる恐れもあります。そこでここでは、費用を抑えて歯列矯正する方法と注意点を紹介します。
安い料金だけで矯正歯科を選ぶと・・・
矯正歯科は非常に高額な治療となるため、つい安さを優先して歯科クリニックを選択してしまいがちです。しかし、ただ「安さ」だけを宣伝する歯科クリニックは、治療技術などが低いケースも想定されるでしょう。
仮にそうした歯科クリニックで治療を受けた場合、担当の歯科医が適切な治療方法を見つけられず、歯列のコントロールができない恐れがあります。もし、こうした矯正歯科医の治療を受けてしまうと、予定していたスケジュールが大幅に延びてしまう事態となりかねません。治療期間が長引けばそれだけ費用もかさむため、結果として大きな損をするリスクも増大するでしょう。
また、技量に乏しい治療を受けた場合、歯列が適切に矯正されるどころか悪化する確率もゼロではありません。そうなった場合、今度は別の歯科クリニックで矯正治療を受ける必要があり、新たな費用が発生します。こうした理由から、安いというだけで矯正歯科クリニックを選択するのは、非常にリスクの大きい行為と言えるのです。
安い矯正治療方法とは?
少しでも治療方法を安くしたいのであれば、安い矯正歯科クリニックを探すのではなく、適切なクリニックで費用を抑える治療方法を選択すると良いでしょう。おすすめは、「部分矯正」です。歯列全体ではなく、歯列の歪な部分のみを矯正するこの治療であれば、費用を抑えられる可能性があります。
実際、通常の矯正治療と部分矯正で生じる料金の相場を確認した場合、以下のような違いが生じます。
表側矯正の全体矯正と部分矯正費用相場
全体矯正 | 60万~130万円 |
---|---|
部分矯正 | 30万~60万円 |
裏側矯正の全体矯正と部分矯正費用相場
全体矯正 | 100万~170万円 |
---|---|
部分矯正 | 40万~70万円 |
ハーフリンガル矯正の全体矯正と部分矯正費用相場
全体矯正 | 80万~150万円 |
---|---|
部分矯正 | 35万~65万円 |
マウスピース矯正の全体矯正と部分矯正費用相場
全体矯正 | 60万~100万円 |
---|---|
部分矯正 | 10万~40万円 |
表を確認しても分かる通り、部分矯正であれば費用を大きく節約できるのは間違いありません。ただし、歯列の状態によっては部分矯正だけで対応できないケースも多く存在します。そのため、まずは矯正歯科クリニックで自身の歯列の状態をしっかり確認したうえで、部分矯正が可能かどうかを医師に尋ねるようにしてください。
失敗しないためには安い料金以外にも注目
矯正治療を失敗しないため、大切なのは「安さ」だけでクリニックを選ばない意識です。安いというだけで評判の悪いクリニックを選んでしまうと、返って損をするリスクも高まってしまいます。
できるだけ治療の費用を抑えたいのであれば、治療方法に注目してみることが重要です。部分矯正など費用を抑えられる治療は存在するため、まずは歯科医師に相談してみましょう。そのうえで、処置が可能な状態であれば、こうした治療方法の選択を検討してください。
治療方法以外で矯正費用を安くする方法とは?
高額な費用を前に治療を躊躇している方も多いでしょう。しかし、矯正治療には治療方法以外にも費用を安くする方法が存在します。少しでも治療を安くする方法を探しているのであれば、以下をチェックしてみてください。
保険適用について
矯正治療はその症例次第で、保険適用となるケースがあります。具体的にどのような症例が当てはまるか、ここで確認しましょう。
先天異常
矯正治療で保険の適用を受けるためには、審美目的でないことを証明する必要があります。たとえば、「唇顎口蓋裂」「鎖骨・頭蓋骨異形成」「ゴールデンハー症候群」といった先天異常が確認された場合、指定自立支援医療機関にて保険適用の矯正治療が受けられるでしょう。
先天異常として認められる疾患は、前述したものを含め23通り存在するため、まずは詳細について近くの自治体に相談することをおすすめします。また、適応の条件については自治体によって変化があるため、こちらについても確認しておくと後々に起こり得るトラブルなどを防げるはずです。
顎変形症
顎変形症と診断された場合にも、矯正治療の保険適用が可能です。顎変形症とは、上あご・下あごの形や大きさに何らかの異常が生じたり、それによって噛み合わせがうまくいかなかったりすることで、顔に変形が生じる症状となります。原因不明の症状であり、多くの場合に遺伝的な要素が強いとされている点が特徴です。
この顎変形症の治療において顎の骨を切除する手術を実施する場合、「顎口腔機能診断施設」の認定を受けていれば、医療機関で保険が適用されます。ただし、顎変形症の状態によっては保険適用とならないケースもあるため注意が必要です。
医療費控除
矯正治療にかかる費用を少しでも抑えるため、医療費控除を受ける手段もあります。医療費控除とは、1年間にかかった医療費が定められた金額を超えた際、所得控除を受けられる制度です。歯科矯正においても、この医療費控除の対象となるケースがあります。
たとえば、発育家庭にある子どもの歯科矯正治療については、多くの場合において医療費控除の対象となるでしょう。子どもの矯正は適切な成長のため必要な治療であると考えられていることが、その理由となります。
大人の矯正治療の場合、噛み合わせや歯列に問題があり、機能面で支障がきたすようなケースであれば医療費控除の対象です。一方で、機能面には問題がなく、審美面を改善したいなどの理由であれば、控除の対象外となります。
デンタルローン
デンタルローンとは、信販会社及び金融機関が提供している歯科治療費専用のローン商品となります。形式としては、多くの方が利用している自動車ローン・住宅ローンなどと同等であり、借入金の使用目的については指定された歯科治療のみに限定されている点が特徴です。
歯科治療費については、信販会社などがいったん立替払いを実施。その後、利用者側が分割払いによって利息分も含めて返済していきます。
デンタルローンのメリットとして、クレジットカードやカードローンなどと比べて金利が低めに設定されていることがポイントです。多くの場合、クレジットカードやカードローンなら15.0~18.0%程度の金利が発生しますが、デンタルローンなら5.0%前後となるでしょう。これにより、治療費全額の借り入れもしやすく、返済計画についても立てやすくなるのは間違いありません。
一方で、デンタルローンは実際に銀行や信販会社への申し込みを終えてから、融資を受けるまで1日~数日の期間が発生します。場合によっては、1週間以上待たされてしまうケースもあるでしょう。そのため、自分が希望するタイミングで矯正治療を始められないリスクが想定されます。また、デンタルローンは対応していない歯科クリニックがある点もデメリットです。かかりつけの歯科クリニックが対応していなければ、別のクリニックを探す必要があります。
安い矯正歯科を選ぶためにはカウンセリングが重要
できるだけ安い矯正治療を受けたいのであれば、それに適した治療方法や利用できる制度があると紹介しました。しかし、そのいずれにおいてもまず必要となるのは、歯科矯正医師による適切なカウンセリングでしょう。医師側が患者側の悩みにしっかり耳を傾けてくれる意思を持っていれば、適切な治療方法や支払い方法などを紹介してくれる期待が持てます。
そのため、矯正歯科クリニックを選ぶ際は、まず安さを見るのではなく真摯なカウンセリングを実施しているところを優先して選びましょう。事前にインターネットなどで、口コミなどを確認してください。
地域によっても矯正料金の安さは異なる
矯正治療において発生する料金は、地域によっても異なる点があると把握しておかなければなりません。その地域のクリニック数などで費用相場は左右されるため、事前にホームページなどで具体的にどれだけ料金が発生するかについては、チェックが必須です。
ただし、ホームページには矯正治療の詳しい費用を掲載していないケースもあります。そのため、まず近場の矯正治療に対応しているクリニックを探したら、どのような対応をしているかについて確認してみましょう。